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報酬管理その5  労働費用②

前回は、経営計画の中から労働費用を見積もり、個別賃金に当て込む・・・という話をしました。
しかし、「労働費用を見積もる」ことが重要かつ難しいことです。そこには、目標(もしくは理想?)と事情(もしくは現実?)があるから・・・・。


経営目標は高く・・・・しかし、事情は異なる場合がほとんどです。

労働者を雇う=賃金債務が発生する。労働者を雇うということは、労働契約を結ぶこと。すなわち、働いてもらった分は賃金債務として労働者に支払わなければなりません。しかも、賃金は労働契約において明示してあります。いわば、固定費ともいえます。
そのことだけを考えても、事業に見合った適正な労働費用を見積もることが大切だということがわかります。



では、適正な労働費用をどう考えるべきなのでしょう。


代表的な管理指標に「労働分配率」というものがあります。
労働分配率=人件費÷付加価値額

「付加価値額」とは、売上高から仕入高などの外部購入費を差し引いたものです。付加価値は文字通り、事業の生産活動によって付けられた価値で「ヒト」(人件費)・「モノ」(減価償却費など)・「カネ」(投資資金)として分配されます。付加価値額にしめる人件費(労働費用)の割合を「労働分配率」といいます。

そして、適正な労働費用(人件費)は、「付加価値額×適正な労働分配率」で求めることができます。では、「適正な労働分配率」とは・・・?



実は、労働分配率には様々な考え方があり、一律にこの数字が適正である・・・ということはいえません。また、業種によっても様々であるのが労働分配率です。
一つの目安として財務省が発表する「法人企業統計年報」から平成17年度の労働分配率を紹介します。。(カッコ内は平成7年度)

全産業:69.9%(69.9%)
建設:79.9%(83.4%)
卸売:72.3%(73.4%)
製造:68.6%(74.7%)
サービス:75.7%(75.4%)
農業:78.2%(89.2%)

あくまでも指標であり、しかも「法人企業統計」という「法人」を対象にした統計です。当然ですが、付加価値に75%を乗じる数値が最も適正な人件費ではありませんので・・・。^^
また、法人企業統計による人件費には役員報酬(すなわち、社長の報酬)も含まれています。


実は、農業という事業について、労働分配率は捉えにくいものです。上に示した統計において、母体となる企業数は全産業271万8777件。その中の農業は1万4161件です。
また、農業は家族経営がそのほとんどです。農業経営の指標においては、労働費は家族経営費と雇用労賃に分かれます。家族経営費・・・本来なら家族に支払う給与・・といったところでしょうが、実労働に見合う給与が支払われているとは限りませんし、先にも言いましたように、いわゆる農業所得(個人経営の場合は個人の収入)も人件費として捉えるといった考え方も必要です。・・・・農業指標については、また何れ。。。
それに、実際には賃金相場というものあり、法定福利費の増加も考えられ、会社の実情だけにあわせることは難しいのが実情です。



ですが、法人企業統計年報による農業分野の労働分配率や他産業の労働分配率の推移などを参考にし、経営計画(または前年度の付加価値額)から捻出可能な労働費用を見積もることは可能です。そこからどれくらいの賃金で、何名ぐらいの人員を、どういう待遇(正社員?パート?季節労働者?)で雇うことができるのか・・・など計画をたてることができます。

示した労働分配率は、あくまでも指標であり、他の産業・業種・会社の平均を知る・・・ということにすぎません。究極的には、自社において、「もっとも利益のでる労働分配率」というものを把握する必要で、それを目標に計画を立てることが重要です。


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プロフィール

SRしょうし

Author:SRしょうし
【事務所】
橋本將詞社会保険労務士事務所


【自己紹介】
昭和47年12月17日生
妻・娘・息子・母 の5人家族

大学時代に地元で集荷業を営んでいた父が他界。卒業と同時に父の跡を継ぎ、地元・上鳥羽で集荷業を営む。

同時に、社労士の勉強を開始。
平成12年合格、翌年登録、そして開業。


集荷業を営みつつ、事務所を運営する異色の社労士。


子供の頃から地元生産者の方々にお世話になり、農業の大切さを知る。
高齢化・人材不足・・・の波がおそう農業界に社労士として何ができるか模索中。


自称:農業労務コンサルタント



【集荷業とは・・・】
地元生産者と中央市場との仲立ち役。
市場出荷がメインの地元だが、市場評価と消費者評価に温度差があることに疑問を感じ、こちらも模索中。
ネットショップを開店するなど、市場外流通も始める。

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